CBR250RR

12月頭頃にCBR250RRを買った。秋に車の免許を取り終えた後、普通自動二輪の免許を取りに行った。車の免許を取っても家の車は自由がきかないし、自分で所有するのはあまりにも高額だ。保険とかも。だから、車と比べると維持費の安いバイクに目を向けた。僕の、巷ではアフリカゾウより重いとされている腰も改善されるかもしれないし。取りに行って思ったのは思いのほかスムーズだったことだ。筆記が免除されている分、技能のみだから集中できたのかもしれない。もっとどんくさいことになると想像してただけにそこは良かった。別段褒められることもなかったが、怒られることもなかった。そんなことで普通自動二輪免許を取得し、11月の末にバイク屋巡りをした。当初僕は何のバイクに乗ろうかとか、予算とかを随分アバウトに考えていて、いざ現物を前にするとどれにしようか、いや、どれにすればいいのか分からなかった。メカに関してはなんの知識もないし、予算のことも「まぁバイクならこんなもんだろ」程度に考えていたら思いのほか高かった。びっくりした。なんだか中古を選ぶのは怖かったので新車を片っ端から見ていたのだが、中古も考えないといけないなと思っていた。店員に聞いても専門用語が分からない。バイク乗りが周りにいないので知識がない。某バイク屋チャンネルの動画を見たりしたが、その人が自分の中学の担任と似ていたこと以外収穫は無かった。自分の計画性の無さに、逆に関心した。よく免許取れたな、ほんと。

 

そんなことでどれにすればいいのか悩んでいた。そして行き着いたの地元のそんなに大きくないバイク屋。聞けばなんか昔レース関係者だったらしく、知る人ぞ知る、みたいな店らしい。20年近く住んでたけど、一切知らなかった。そこの店の横にあるチェリオの自販機の方が僕らの間では知名度あると思う。そこに入って店長に一切知識がないんだ、と伝えると素人にも分かりやすく教えてもらった。なんとなくのことはわかり、そして今の自分には新車の方がいいことを理解した。店長に「背が高いからオフロードが似合うかもね」と言われてオフロードバイクを見たのだが、オフロードなんて走りたくないし何よりも見た目が嫌だった。カワサキのオフロードを見せてもらったのだが、申し訳ないがバッタにしか見えない。僕個人としてはぼんやりとホーネットというバイクがかっこいいと思っていたのだが、なんでもタイヤがめんどくさいらしい。あとパーツも手に入るか怪しいらしい。そして何よりもホーネット乗りはよく転けるというのを聞かされて完全にビビってしまい、辞めた。どうしたらいいのか途方にくれていたらCBR250RRのカタログを見つけた。カタログを眺めていると店長が「案外いいかもね」と言う。かっこいい。確かにかっこいい。こんなスポーツタイプが中型にあったのかと驚いた。そして何よりも驚いたのは値段。80万。意味不明。異文化コミュニケーション。値は確かに高いが、評価は高いと店長は言う。うーん、でも80万。自分の予算を遥かに超えてる。けどかっこいい。店にこのバイクはどうやらないようで、在庫のある店を教えてくれた。県内だが結構遠かった。

 

ホンダドリーム、こんな店あるんだと初めて知った。正規ショップらしく、店は綺麗で、関西弁をまくしたてる店長みたいは人はいなかった。現物を見るとやっぱり欲しくなった。グレーが特にかっこよかった。欲しい。こんなのに乗ってる自分が少し想像できないが、多分こんな僕でもこのバイクがかっこよくしてくれるだろう。

 

見積もりを貰い、親に報告する。バイクの知識がない親でも流石にこのバイクの値幅が高いのは分かったらしく、反対された。だが自分は粘った。実を言うと預金口座全て吸い出せば買えないものではなかった。高校3年間バイトをしてたわけだが、そんなに金を使っていないのでかなり残っていた。学費も定期代も携帯代金も別に払ってるわけではないし、車の教習所は親が負担する条件で行ったので、それなりに余裕があった。ただ、全て吸い出せばほんとにスッカラカンになるのでそれを避けたかった。粘った結果「親ローン」という恐らく現存するローンで最高のローンを組めた。無利子、延滞可、なんならチャラにすることも不可能ではない。そうして僕は一括でCBR250RRを手にした。

 

店から家までの距離は遠くもなければ近くもない。車だと20分から30分ほど。店から乗って帰るのだが、跨った瞬間めちゃくちゃ怖くなった。ていうかポジションがよく分からない。初公道ではないが、とんでもなく怖かった。そして更に怖い体験をする。メチャ速い。意味が分からない。怖い。速い。てか、寒。めちゃくちゃスロー走行だった。キープオンレフトの極みみたいな走行ライン。途中ズーマーに抜かれた。つらい。なんとか家に着いて、改めてCBR250RRを見る。感想はやばい。語彙力を消しとばす程にかっこよかった。僕だけのバイク。

 

あれから1カ月、僕の地元は基本的にバイク文化がないのか、せいぜい原付2種を見るくらいなのだ。だから僕があんなバイクに乗ってるのは一気に広まった。ヤンキーになったと広まったようだ。ヤンキー。最近自分の住んでいる地域は本当に2018年なのか、気になる。けれども近所の小学生が自分のバイクを見てかっこいい、と言ってくれたりするのはやっぱり嬉しい。ただしかし、親に「やかましいから家付近になったらエンジン切ってこい」と言われた。今でもそれは守ってる。押して歩いてるのはちょっと格好が悪いけど、昔僕の向かいの家の長男さんがやかましい車に乗っていた時、近所につけられたあだ名が「屁こき虫」だったので反面教師にさせてもらっている。早く暖かくなってほしいと切実に思う。そしたらもっといろんな所にCBR250RRが連れてくれるだろう。それにしてもCBR250RRの文字の並び、完璧だな。。。