空白の時間

バイトまでの待ち時間ってのはなんともいえない時間の流れ方をする。なんだか一向に時計の針が刻んでいる感じがしないし、何よりも、2時間も暇を持て余すことになってしまった自分のスケジュールの立て方の下手さ加減ったらありゃしない。

 

僕はこの2時間を可能な限り有効に使おうと思い、半ば無理やりに用事を作った。まずは、マフラーを買おう。このまえまで朝はかなり冷え込むものの、昼は秋らしい気温だったのだが、そんな悠長なことを言っていると風邪の予感がするほどに最近寒い。別に今日じゃなくてもよかったのだがとりあえずUNIQLOに行った。UNIQLOなら確実にあることが予想できたからだ。

 

UNIQLOに行くと僕が9月に買ったブルゾンがすごく安くなっていてなんともいえない気持ちに入っていきなりなった。それは置いといてマフラーを探そうとキョロキョロしている。見つからない。おかしいなと思いながらフロアをグルグル歩いていると、まったくUNIQLOの店員はよく教育されている。「何かお探しですか?」と。僕が店員に聞くかぁ、と思ってわずか6秒くらいだった。マフラーを探していると言うと、売り場まで案内してくれた。入り口付近にあった。灯台下暗し。礼を言って柄を決める。去年、高校時代まではブラックを使っていた。これからは私服だし、チェック柄にした。割と満足した。

 

次は残高照会。あまりにもすぐ終わった。無理やり作った用事はあっけなくすべて終わった。30分しか経ってない。どうしたものかと思い、本屋に寄ろうかと思ったが昨日行ったばっかだし、ていうか金使いたくないし。フードコートで座ろうと思ったが高校生だらけの光景を見てやめた。あーんどうしたものか。全く時間が過ぎない。イヤホンからはJamiroquaiのVirtual Insanity が流れる。Waoh - it's so insane、まさしくその通りだ。

 

ウロウロしていると文化祭作品展と書かれたコーナーがあった。近所の中学生の描いた絵で入選したものが飾られている。「想」というタイトルの絵は抽象画らしく、どっから見たらいいのかわからなかった。ていうか頭が働かない。この絵を褒めているおばぁちゃんたち2人が横に。「アイデンティティがすごい」そうだ。もう一度見る。わからない。こんな作品展があるのを知っているのはこの3人だけだろう。イエスキリストも知らないだろう。ムハンマドブッダも。

 

外に出ると風が強かった。落ち葉があちこちに出張していく。その出張先にミスタードーナツがあった。そうどオールドファッションを食べよう。あの「ヌモっ」とした歯ごたえと、水分を一気に奪っていく愛すべきミスタードーナツのオールドファッション。ヌモっとそのままどこかに埋もれて、水分もろともやる気も奪ってくれ。僕はバイトがたるいんだ、ミスタードーナツ