休日の午前

ガソリンスタンドってのは店舗として完全に独立してるものだ、という固定概念が産まれてから今日まであったのだが、今日母親に連れられて来たホームセンターの敷地内にエネゴリ君ですっかりお馴染みのエネオスがあるのはとても違和感だった。違和感、というより単純に危なくないか?という感じなんだけど。

 

なんでホームセンターに来たのかというと、答えはいたってシンプルで昨日の台風で傘立てが飛ばされて見事に凹んでしまったからなのだが。台風と分かっているのだから、中に入れるなりすればいいものの、という文句が出てしまう。まぁこの文句は傘立てが凹んだことよりも朝早くからその買い物に付き合わされるはめになったことへの文句なのだが。

 

勿論、世の主婦は傘立てのためだけに朝から車に息子を乗せてホームセンターに行くなんてことはない。他にも買いたいもの見たいものがあるんだろう。それも分かっていた。

 

ホームセンターに入ると僕は母親に終わったらLINEして、と言い残し自分はプラプラ久しぶりのホームセンターを歩き回ることにした。そんなに広くもないが、狭くもないホームセンター。僕はホームセンターの臭いが嫌いだ。ヒノキなのかなんなのか知らないが、フィトンチッドの臭いが僕を不快にさせる。ただ、ホームセンターのこの独特な臭い、空間は僕の馴染みきってしまったマンネリハウスに何かプラスしてくれそうな物の気配が僕をワクワクさせてくれたりもする。

 

僕は母親にプラプラするとは言ったが、それこそそんなに見るものもなく、ペットコーナーに行くことにした。ペットコーナーに行くと鳥類の臭いが今度は僕を完全不快Dreamerにする。あとフェレットフェレットって懐くの?ていうかもう臭いがやばい。うんざりする。できるだけ彼らのコーナーから離れて猫やら犬やらのゲージを見る。クソ狭いスペースで、寝ることしかできないから寝ていたら子供が叩いて起こす。あぁ、なんだかなぁ、と思うのだが僕はだからといって何かできるわけでもないし…という投げやりな、情けない言い訳を心の中で呟く。

 

僕の家はペットなんてものはいない。だからなんとかなく、犬とか猫を見ると「あ!」ってなるタイプだ。ネットサーフィンをしていると出くわす犬や猫の画像もいちいち反応してしまう。しかし、前回の記念すべき(?)1回目の記事で書いたように僕は腰が重い。猫に自分の物壊されたりしたら…とか、糞とかそのへんにするのかな…とか、そうさせないためにもしつけをしないとならんのだろうが果たして僕にそんな根気はあるのか…そして何より終始誰が世話すんのか…もう絶対飼わない方が良い人間性だな、と自己完結してペットコーナーを離れる。

 

【暮らし応援コーナー】と書かれたとこへ足を運ぶ。暮らし応援コーナーって、なんだかニートに向けた言葉みたいだなと思う。そこに行くとベッドやら机やらなんやらがあって、なるほど暮らしに関する物だ。僕はそのコーナーの商品を見ながらこれが部屋にあればいいなぁ、とぼんやり想像しながら見て回る。ウィンドウショッピングの醍醐味をしっかりと味わう、せっかくの創立記念日を台無しにしている大学生。我ながらよく分からない。

 

すると横にいたまだ小学校低学年くらいの子が「お母さん、僕の部屋にもこんなミラーボールつけてよ」と言っていた。上を見ると確かにミラーボールがあった。なんかどっかのカラオケのPVで見たことがあるようなないような。「あれは売り物じゃないよ」とお母さんが言う。「どこで買えるん?」「さぁ、ひゃっきんちゃうの?」僕はその会話を聞いて関西弁の面白さを痛感する。ひゃっきん、というイントネーションは何回聞いても面白い。なんか、本当に脆そうな気がする。ひゃっきん。

 

なんやかんや見ていると母親からLINEが来る。レジに並ぶ母親を見ると何やらいろんなものを買っていた。僕は案の定それを持たされて駐車場へ向かう。重い。なんなんだこれ。

 

車につめると、ふとさっきのエネオスが目に入る。もしあれが何かの拍子で引火したらここら一帯はひとたまりもないのかなと思う。怖いなぁ、となんとも小学生じみた感想を思いながら助手席に乗る。

 

台風の後の晴れ間。風は冷たかった。